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【ネタバレ】【ストーリー解説・考察】ENDER MAGNOLIA -BLOOM INTHE MIST-(エンダーマグノリア ブルームインザミスト)【アーリーアクセス版】

©BINARY HAZE INTERACTIVE Inc.

メトロイドヴァニアxソウルライク名作ゲーム「ENDER LILIES」の正統続編である「ENDER MAGNOLIA -BLOOM INTHE MIST-」

2024年3月26日にアーリーアクセスが開始され、正式リリース日は2025年1月23日に予定されています。
この記事を書いているのは2024年12月で、アーリーアクセスの存在自体は知っていたもののなかなかプレイする時間が取れていなかったのですが、先日、公式から「アーリーアクセスでプレイできる範囲にも調整が入る」「セーブデータの引き継ぎもできなくなる」といった告知があり、これは逆に言えば「今プレイしなければこの部分の体験は二度と味わえないのでは?」と思い、急いでプレイしました!

プレイした感想ですが、結論から言うとめちゃめちゃ面白い!前作で良かった部分をしっかりと継承しつつ、さらにストレスフリー度が上がっていて、まさに正統進化という完成度でした。ストーリーも当然まっだ途中までではあるものの、この時点でも気になる伏線がバリバリに盛り込まれていて、今後の展開にとても期待が高まるばかり。

本記事では、まだアーリーアクセス段階ではありますが、ストーリーの基本的な流れや解説、いくつか気になった部分の考察についてまとめていきます。


※本記事には前作を含むネタバレが含まれますのでご注意ください。

「エンダーマグノリア」のあらすじ

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まずは簡単なあらすじを。

前作「エンダーリリーズ」で描かれた死の雨の災厄から数十年後の物語で、地下に眠る膨大な魔力資源によって栄えた魔法大国「煙の国」が舞台となります。

煙の国は発展の末に人工生命ホムンクルスを生み出し、輝かしい未来を築こうとしていました。しかし、地下から吹き上がった穢れた煙がホムンクルスを狂わせ、暴走する怪物へと変貌させてしまいます。

そんな中、ホムンクルスを救済できる力を持つ「調律師」と呼ばれる存在がいます。主人公のライラックもその一人ですが、物語の冒頭時点で記憶を失っており、下層深くの地下実験場で目覚めます。

目覚めたライラックは、実験場跡に棄てられていた謎のホムンクルス「ノラ」を助けることになります。そして、失われた記憶と大切な仲間の行方を探すため、ノラたちや途中で出会う仲間たちと、広大な煙の国を旅することになるのです。

「煙の国」について

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前作では、世界を支配していた「古き民」を「初代王」が滅ぼし、6つの国に分割したという歴史が描かれていましたね。今作の「煙の国」もその6つの国のうちの1つであり、魔法文明の中心として繁栄した一方で、地下に眠る膨大な魔力資源に依存する危うい構造を持っています。

この国は「上層 / 中層 / 下層」の階層構造を持ち、上層にはホムンクルスを創り出した魔術師たちが集まり、国家の中枢的役割を果たしているようです。
一方、下層では膨大な魔力資源が発掘され、その過酷な作業を担うためにホムンクルスが酷使されていました。しかし、その背景には、煙の耐性を研究するための非道な実験が行われ、多くのホムンクルスが犠牲になったと考えられます。

また、下層で発掘された魔力資源には、熱や冷気といったさまざまな力が含まれており、それが国の発展を大いに支えていました。しかし、その一方で発掘作業の副作用として煙が吹き上がり、穢れを生み出して国全体を蝕む結果となっています。

「煙」について

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煙の国の地下から吹き上がった「穢れた物質」であり、ホムンクルスを狂わせて暴走する怪物に変貌させる原因となっています(リト曰く、「煙を吸うとみんなが傷つけ合ってしまう」)。地下に眠る膨大な魔力資源と関連しており、その影響で地下や下層の環境が悪化しています。

下層の人々は、魔道具で防ぎながら、辛うじて生活を続けています。
穢れには肉体や魂を蝕む性質を持ち、体に肉腫を発現させるとともに、異常な再生能力と凶暴性をもたらします。この辺は前作と同様ですね。

ホムンクルスは煙にある程度の耐性を持っているようですが、許容量を超えて魂(コア)が穢れてしまうと「変異体」となり暴走してしまうようです。

本作の「煙」は前作に登場した「死の雨」と同じような性質を持つものだと思って良さそうです。

「調律師」について

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魔力を用いてホムンクルスを制御し、暴走や変異を抑えることができる特別な存在。

調律の際には対象のホムンクルスの記憶をたどることができ、その過程でその個体が背負ってきた過去や苦しみを垣間見ることができるようです。
この能力は、前作の白巫女の「浄化」に似ており、魂に深く干渉する点で共通していますね。

TIPS「酒場の掲示板」に記されていますが、調律師の数は不足しており、ホムンクルスの変異体化が後を絶たない状況が続いているようです。これによって制御が行き届かず暴走したホムンクルスが危険区域を広げている現状が浮き彫りとなっています。

ホムンクルスについて

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魔術師によって生み出された人工生命体。
「ミリアス」の魔工技師によって強化され、高い身体能力を持っているようです。
人間に従うよう、定期的な「調律」によって意識を制御されています。

穢れた煙の影響で魂(コア)が汚染されてしまうと、変異体となり暴走します。本作で戦うボスはこの変異体たちですね。

人間のように食事を必要とせず魔力のみで生存可能で、穢れへの耐性や再生能力も備えているようです。

ミリアス

ホムンクルスの製造や研究を主導する陣営で、魔術師や魔工技師たちを抱えています。調律師を多く排出しているフロスト家とは対立関係にあるようです。

ホムンクルスに対して非道な実験を行っていたり、洗脳による過酷な労働を強いていたりと、ホムンクルスから深い恨みを買っています。

バトルメンバーである「ヨルヴァン」もミリアスの実験体の一人で「人と動物との融合」という非人道的な実験をミリアスから受けています。(ハガレンのショウ・タッカーの胸糞話を思い出しました…)

ちなみに、以下は前作リリーズのTIPSですが、ここと繋がってるのがゾッとします。

【禁域の魔術師の報告書】
穢者が発現する肉腫の再生能力は特殊な条件下において複数の生命体を一つに結びつける性質を持つことが分かった
一つの肉体に複数の魂、意識が結びついた時どのようなことになるのか興味深い
例えば、鳥のような飛翔能力を持つ兵士を生み出すことだってできるかもしれない
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まさにこれなんですよね。
ヨルヴァンのフレーバーには以下の記述もあり、

ヨルヴァンに施された人と動物との融合実験はホムンクルス研究の第一人者であり、かつて滅びた隣国から来た研究者によるものだという

この情報からも、ミリアスの要人が「果ての国」の「ファーデン魔術師団」に属していた人物なのではないかと考えられます。

フロスト家

魔術に関わる名門の一族で、数多くの調律師を輩出しており、穢れの影響で変異体となったホムンクルスへの対処を行う「フロスト調律師団」も抱えています。
フロスト調律師団の調律師長が鎖の獣に「ミリアスに飼われた使い捨ての調律師」と呼ばれていたため、陣営としてはミリアス家と対立関係にありつつも一部では不穏な協力関係が存在していた可能性があります。

また、フロスト家は古代巫女の力を受け継いだ呪術に強い関心を持ち、その力をホムンクルス制御に応用しようとしている様子が描かれています。

考察:「調律」と「浄化=白巫女の力」の関係性

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本作の「調律」は白巫女の「浄化」の力と非常に類似しています。
たとえば、穢れからの救済や、記憶に触れることができる点など。

前作では、「穢者の救済は白巫女の浄化の奇跡によって叶えられる」というTIPSがありました。この「浄化」は穢れを受けた存在を救うための唯一の手段として描かれています。一方、本作で調律師たちが行う「調律」によって穢れたホムンクルスの救済が実現しているとすれば、この二つの力は極めて近い性質を持つといえそうです。

ここで注目すべきは、本作の以下のTIPS。

8.調律師長の手記

ホムンクルスに施された魔術制御は魂を操る古代呪術に近いらしい
かつてこの地にいた古き民の巫女は魂を操り、自らの力としたという
その特異な古代呪術は血によって受け継がれた
フロスト家の魔術師はその力がどうしても欲しかったんだ

この記述から、「調律」という技術は白巫女の「浄化」の力を研究し、他者でも使用できる形で応用されたものと考えられます。フロスト家やミリアス家が古代巫女の力を解析し、それをホムンクルス制御の技術として確立した結果が「調律」ではないでしょうか。では、巫女の力をどのように解析したのか?

この作品ですから、ここでも非人道的な研究がされた可能性もありそうです。
最後の白巫女であるリリィが無事であることを祈るばかりです……

考察:青いローブの女性は誰なのか?

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ホムンクルスの回想に度々出てくる間違いなくキーキャラクター。

ゲーム序盤でルヴィからもらう「青のマント」のフレーバーには「青色は調律師を排出するフロスト家を象徴する色」とあったので、フロスト家に属していると思われます。
また、「獣の記憶」にて調律師長と一緒にいたことや、下層探査の帰還者は調律師「2名」とあったことから、「調律師」であると思われます。
ルヴィがお世話になったと話していた「調律師のお姉ちゃん」もこの人物の可能性が高そうです。

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明確な名前や詳細な背景は明らかにされていませんが、「巨人の記憶」にて白百合と思われる花を持っていたり、ガラムにその花飾りを渡していたりと、象徴的なシーンがあり、もしかして約十年後の成長したリリィなのでは?という説がありそうです。リリィだとしたら不死の契約の契約印が額にあると思いますが、どのシーンでも額があからさまに隠されていることからも可能性がありそうですよね。(流石にミスリードかもしれませんが)

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ちなみにオープニングにも白髪の女性が出てきますが、青ローブの女性と同一人物かどうかは判明できません。髪の長さもほぼ一緒ですが…

物語序盤の上層を見上げるシーンで、ライラック「地下に落ちる前、必死に助けてくれた人がいた。その人が泣いていた理由を知りたい……をきっと大切な人だと思うから」と語っていたのは、おそらくこの人物であると思われます(オープニングの女性も泣いていたので)。

ノラについて

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ノラについては現時点で不明な点だらけですが、分かっている情報を整理しておきます。
彼女は地下実験場跡に捨てられていた戦闘用ホムンクルスであり、ライラックと最初に仲間になる存在です。前作でいう黒衣の騎士フェルンのポジション。

下層で働く労働者ホムンクルスとは風貌も異なり、古くも高貴な雰囲気を漂わせています。

彼女は自分の願いは「上層に行って悪夢の原因を断つこと」だと言っていましたが、具体的な目的は謎だらけです。
鎖の獣がノラのことを「ミリアスの死神」と呼んでいたのもあり、上層にいるミリアス陣営と深い関係がありそうなのは間違いないですが。

気になるのは、下層の地下にいたのにもかかわらず穢れの影響で変異体になっていなかった点ですね。明らかに他のホムンクルスとは違いそうです。

また、彼女の名前も重要ですね。「ノラ」は「マグノリア」の短縮形であり、タイトルはここから取られているようです。

前作「エンダーリリーズ」のタイトルは「リリィ達が終わらせる」という意味でしたが(最後の穢れの王との戦闘シーンが印象的ですよね)、本作は「マグノリア=ノラが終わらせる物語」ということでしょうか。主人公のライラックではないというのが気になりますね。

ライラックについて

最後にライラックについてまとめます。
言わずもがな、本作の主人公。男の子か女の子かという論争が界隈であるようですが、女の子でしょう!(根拠ナシ)
ライラックの正体もまた、現時点ではかなり謎めいてますが、少し考察(という名の妄想)をしてみます。

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まず、初期衣装として「魔術学院の学生服」を着ていた点が気になります。「魔術学院」だけでは情報としては足りないものの、「服が黒であること」はヒントになりそうです。
フロスト家のテーマカラーが青である一方で、(おそらくミリアス側である)ノラの服が黒色であることから、黒=ミリアス家のテーマカラー、つまり魔術学院やライラックはミリアス側である可能性がありそうです。

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また、リトの記憶のシーンも気になりますね。ライラックもリトと同じく実験体の候補だったと思われますが、ローブを羽織った人物に連れて行かれました。その後リトは実験体にされてしまったので、ライラックは保護されたと見て良さそうです。でも、その頃からライラックに調律の力があったのであれば、そもそも実験体候補とされていることに違和感があります。その辺りから考えると、ライラックが持つ調律の力は、先天的なものではなく「後から会得した」という可能性がありそうです。
この説を補強するのが、冒頭のオープニングムービーです。
白髪の女性がライラック「この時にそなえて、あなたには生きるすべを教えてきた」と語りかけています。この「生きるすべと」が「調律」のことを指すのであれば、話の辻褄が合いそうです。

また、ルヴィが「調律師のお姉ちゃんに似ている」と言っていたのも気になりますね。このお姉ちゃんは、状況から考えると上述した「青ローブの女性」な可能性が高そうですが、「容姿が似ている」ということは、血のつながりを示唆している可能性が高いと思います。仮にもし青ローブの女性=リリィだとすると、リリィの血縁関係であるか、あるいは前作のお話を踏まえて、何かしら遺伝子を加えられて作り出された存在、という説も無くは無さそうです。
とはいえ、これはさすがに妄想を多分に含んでいますので、参考程度に…!

終わりに

一旦思いつくものをまとめてみました。他にも気になるところが多いですが、ひとまず現時点の情報ではこんなところでしょうか。また思いつくものがあれば追記しようと思います。

▼前作「ENDER LILIES」の解説・考察はこちら

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▼本作「ENDER MAGNOLIA」のプレイ感想・レビューはこちら

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