MAPPA制作のオリジナルアニメ「全修。」の第7話のストーリーまとめ&レビューです。
第7話のストーリーまとめ(ネタバレ)
物語はナツ子の過去編からスタート。
舞台は平成18年、小学生時代のナツ子。映画『滅びゆく物語』との運命的な出会いを果たし、「よく分かんなかったけど、そこがいい」と語る謎の境地へ到達。アニメ雑誌を写本し、目を閉じたまま脳裏に焼き付けたルークを描き、将来は巨匠になると堂々宣言。そんな彼女にドン引きしつつも、「トゥンク…!」と感じてしまうクラスメートのミドリだったが、突如転校することになり、淡い初恋(?)は儚く幕を閉じる。
続く中学生時代、ナツ子の"こじらせ"はさらに加速。
ヤンキーの喧嘩を頼み込んで観戦しようとしたり、虫の動きを研究しようとして教師に止められたりと、周囲から理解不能な行動を連発。クラスメートのシュウはそんな彼女に惹かれてしまい、ナツ子の「残像が見えるくらい速く走れ」という無茶振りを真に受け、まさかの県大会新記録を樹立。これが「トゥンク…!」の力なのか……!?と恋に燃えたシュウだったが、ナツ子の関心はすでに次の題材へ移っており、秒速でフラれるのであった。
高校時代はアニメ研究会へ。
監督・蒼井三郎のもとに現れたナツ子は、手伝いに来たと思いきや、監督のコンテを無視して全修。圧倒的画力と超高速作業で、現場のすべてを掌握する。監督・蒼井は「ああ…これは…トゥンク…!」と心を掴まれるが、それを認めるのは悔しいので「お前を俺の永遠のライバルにしてやる!」と宣言。だがその後、ナツ子はアニメ業界に飛び込み、瞬く間に天才監督と呼ばれるようになり、蒼井は「のぉぉぉぉん!!」と絶叫しながら大学8年生へと進化した。
そして、令和の時代。
ナツ子はスタジオコンコンで、社長から「初恋ファーストラブ」の監督を任される。しかし、ナツ子は初恋を全く理解しておらず、「トゥンクって何の音なの?」と悩む日々。ついには中学生に初恋のカツアゲを始め、パンをくわえて全力疾走して男性にぶつかるという古典的シチュエーションを毎日繰り返し、制作進行をドン引きさせる。しかし、どれだけ体当たりしても、ナツ子は「トゥンク」を理解できず、「何も生まれない…」と倒れ込むのだった。
ここで再び物語は現実世界(?)へ戻る。
目を覚ましたナツ子は、「怖い夢を見ちゃった」と言いながら、ユニオのツノを髪飾りにするという暴挙を働く。そんな和やかな(?)日常の中、ルークはナツ子に「とんとん してんだからな」と、どこか世話焼きモード。ジャスティスは子どもたちの大人気者となり、「ジャスちゃん」と呼ばれ、もはや抵抗すらできずに完全に愛玩化。ナツ子も「滅びゆく物語って…こんな幸せでいいんだっけ?」と、かつての鬱々とした映画の雰囲気とは違う展開に疑問を抱くが、「まぁいっか」と流す。
しかし、そんな穏やかな空気をぶち壊す一言が響く。
「いいわけねえだろ」
鳥監督の言葉が、ついにナツ子に突きつけられるのだった──。
感想&考察
1.全体感想
これまであまり語られなかったナツ子の過去が一気に掘り下げられた回でしたね。今までも彼女の性格は十分に変人寄りでしたが、小学生時代のナツ子は意外とまともだったようにも思えます。少なくとも、ミドリの似顔絵を描いてあげるあたり、人にちゃんと興味を持っていた様子はあります(まあ、もう少し可愛く描いてあげて!って思ったけど)。ナツ子は「滅びゆく物語」に強く惹かれ、のめり込んでいましたが、まだ周りの人間との距離感を完全に断ち切っていたわけではなかったのかも。
2.ナツ子の初恋について
7話タイトルの「初恋」。これはナツ子が現実世界で作ろうとしていた映画「初恋ファーストラブ」と一致していて、ここが物語の折り返し地点になっていることが明確に示された回だったと思います。すなわち、「初恋とは何か」を知ることがナツ子の乗り越えるべき壁であり、それが物語のラストに繋がってくるんじゃないかと思います。
ではその「ナツ子にとっての初恋」って誰なんだ?って話ですが、やっぱりここはストレートにルークなのかなぁ~って思います。小学生時代の回想でも、ナツ子は「滅びゆく物語」を観てルークに感情移入し、めちゃめちゃ涙を流していました。もしかすると、その時点でナツ子の中に無意識的に何かしらの「特別な感情」が生まれていたのかも?なんて思ったり。
ただ今のナツ子は、ルークを物語のキャラクターとしてしか見ていない様子なので、よほど大きな展開が無いと意識すらしそうにありません(ルーク側はもう完全に惚れてますがw)。いずれにしてもこの先、ルークと恋に落ちるような展開があり、それがナツ子にとっての大きな転換点になって「初恋ファーストラブ」を描くために現代に復活するっていう筋書きがまぁ綺麗な落とし所なのかなと。
3.今後の展開について
前回の鶴山監督の「無駄だよ」発言を、ナツ子たちは前回ひっくり返したわけですが、監督本人は全然動じていませんでした。これはやっぱり、前回の解決は一時しのぎにすぎなくて、監督的にも「まだ余裕がある」っていう感じがします。タイトルの『全修』のとおり、すべてを覆しリセットしてくる隠し札のような能力を持っている可能性は高そうです。
今はナツ子の改変で平和な雰囲気になっていますが、どこかのタイミングで一気にひっくり返される、そんな展開を想像しました。ダイナミックな展開を期待したいですね。