ゲーアニノオト

*ゲームとアニメがもっと好きになる*

アニメ「全修。」(ぜんしゅう)6話「変化。」ネタバレまとめ、感想、考察

MAPPA制作のオリジナルアニメ「全修。」の第6話のストーリーまとめ&レビューです。

第6話のストーリーまとめ(ネタバレ)

©全修。/MAPPA

物語は映画「滅びゆく物語」の過去シーンから始まり、かつてナインソルジャーが結束してヴォイドと戦っていた時代が描かれる。ルークとジャスティスの間には固い信頼関係があり、仲間たちと共に戦う日々があったことが示唆される。

©全修。/MAPPA

場面は現在に戻り、前回のヴォイド戦の映像を分析するナツ子たち。ヴォイドは斬撃を受けても液状化し、最終的にソウルフューチャーの塔へと直進し、側面に張り付いたまま停止している。QJによると、これは「蛹(サナギ)」の状態であり、完全体へと変化する前の静止状態だという。次に動き出せば、より強力なヴォイドとなってしまう。ナツ子は再び独断で戦おうとするが、ルークが激昂。「死んでたんだぞ!」と強く制止され、ナツ子の無鉄砲な行動に怒りをあらわにする。

©全修。/MAPPA

一方、ルークは夜の墓地で偶然ジャスティスと再会。かつての仲間だったジャスティスはすっかり堕落し、すでに戦う意思を失っていた。ルークは「今こそお前の力が必要だ」と説得するも、ジャスティスは「俺はもう戦わない」と拒絶。それでも、ジャスティスがナツ子に興味を持ち始めている様子が伺える。

©全修。/MAPPA

その頃、ナツ子が酒場にいるとQJが現れ、前回の戦いの後に彼女が気を失っていた時の映像を見させられる。ナツ子はヴォイドに吹き飛ばされながらも無傷だったが、それはメメルンたち仲間が治療してくれていたからだったとナツ子は知る。「あなた1人で戦っているつもりにならないでください」と釘を刺される。その言葉に過去のアニメ制作時代の記憶がフラッシュバックし、「お前1人で作ってる気になってんじゃねえよ」と言われたことを思い出す。

©全修。/MAPPA

翌日、ナツ子はナインソルジャーの作戦会議に参加し、「君たちの作戦というものを一旦聞くことにしようか」と発言。仲間たちは驚くが、メメルンは「ナツ子さんがいなければ、この街はとっくに終わっていた」と評価しつつも、「でも、あなたの戦い方には不安がある」と指摘。ナツ子の無茶な戦い方を心配し、「わたくしたちの力も信じてください」と訴える。その言葉にナツ子は「分かった」と応え、ついに仲間と共に戦うことを決意する。

©全修。/MAPPA

そして、ヴォイドとの決戦が始まる。完全体となったヴォイドは予想以上の速さでナインソルジャーを襲い、QJとメメルンが次々と飲み込まれてしまう。ルークとユニオも追い詰められ、絶体絶命の状況に。ナツ子は階段を召喚し、ルークたちの足場を造りアシストを試みるが、ヴォイドはすでにソウルフューチャーの高さまで到達しており、彼らの姿は見えなくなってしまう。そんな中、ナツ子はジャスティスに助けを求め、ジャスティスはナツ子を乗せて飛び立つ(浮く)。

©全修。/MAPPA

ジャスティスのサポートを受けたナツ子は、ルークたちの元へと向かい、さらに上へ階段を生成。ユニオがルークを頂上に蹴り上げ、メメルンたちも脱出したところで、ルークが渾身の一撃でヴォイドを切り裂き、ついに勝利を収めるのだった。

©全修。/MAPPA

感想&考察

1.全体感想

©全修。/MAPPA

まずは、第5話からのつながり方について。あれだけ引っ張った終わり方をしていたので、ここから熱い展開になると期待していたのですが、まさかの開幕時点で終わってて、ナツ子も普通に無事であるとは、正直全く予想していない展開でした。肩透かしを食らった感は否めません……

前回の記事ではシリアスな展開やキャラの喪失もあり得ると考察しましたが、実際には“無難”で“王道展開”のまま収束しました。(勿論、なんでもかんでもキャラを死なせたりする脚本にしてほしいという訳ではないですけどね)

とはいえ、始めて全員で協力して戦う展開は王道でありながらも非常に胸圧ではありましたね!ナツ子やルークは勿論、ユニオやメメルン、QJ、バオバブ様、そしてジャスティスと、みんな良い味出してたので、これまでちょっとずつ積み上げてきた信頼関係が実を結んで爽快でした!特にQJの「あなた1人でヴォイドを倒しているつもりにならないでくださいね」という台詞には惚れました。あと、これまでずっと無表情だったメメルンが前回のエピソードを経て、自然な笑顔をするようになったのも惚れました。

2.ナツ子の欠点改善

©全修。/MAPPA

今回のナツ子は、最初こそ独断専行しようとしたものの、QJの言葉やメメルンからの厳しくも優しい叱咤に心を打たれ、仲間と協力することの大切さに気づきました。そして、自らヴォイドを倒しに行くのではなく、「階段を作って皆のサポートに回る」という立ち回りを選択し、それがルークがヴォイドを打つ流れを作りました。

これはただの戦術的な変更ではなく、「自分の力だけ戦うのではなく、仲間を活かすことが重要である」という、ナツ子の価値観の転換を示すものです。今回だって、「皆と協力するできるような召喚獣を呼ぶ」という選択肢もあったはず。しかし、そうはえずあえて「皆のためにサポートする」といった役割を果たしたのには、大きな意味やメッセージが込められていると思います。

アニメ監督に限らず、チームで上に立つ人間というのは、自分の成果よりももっと大局を見て、周りの力を最大限生かすことが重要なのは言うまでもないですからね。自分本位の考え方から一歩大人になったナツ子が次回以降どんな戦いを見せるのかは楽しみですね。

こう考えると、当初から予想していたナツ子が欠点を克服し最終的に現実世界に戻るという展開は、もはや必然であり、確定的とも言えそうです。

※余談ですが、ナツ子の欠点はもっとだいぶ根深いものなのかなとも思っていましたが、意外とのが早かったですね。

3.“階段”であることの必然性

©全修。/MAPPA

前述の項目と若干被りますが、作られたのが「階段」であることに対して。
ナツ子が作った「階段」は、単なる物理的な足場以上に、彼女自身の成長と変化を象徴するものとして表現されていると考えられます。

「階段」は、仲間が頂点(=目標)に到達するための道筋を示すもの。つまり、ナツ子が仲間の力を信じ、その力を最大限に引き出す役割へとシフトしたことの表れとも取れます。また、「階段」は「成長」や「次のステージへの移行」を象徴するものでもあり、ナツ子自身が欠点を克服して次のステージに登ったという意味が込められているのだろうと見ていて感じました。

4.ルークの尋常ではない仲間思いについて

©全修。/MAPPA

ルークの尋常ではない仲間思いについては以前でも触れましたが、今回も特に印象的なシーンがありました。1つ目は、ナツ子が独断専行しようとした時に「死ぬかもしれないんだぞ!」と、普段よりも一層切迫した表情で制止したこと。仲間の身に危険が及ぶときのルークの必死さは、もはや理屈ではなく本能的なものに近いとすら感じられました。

©全修。/MAPPA

2つ目は、ジャスティスとの会話シーン。「俺が負けるってことは、共に戦った仲間の死を無駄にするってことだ!…俺は勇者だ!戦うことから尻尾巻いて逃げる?どこかのクソトカゲと一緒にするな!」という強い使命感をにじませる台詞。

ルークが他者の「死」に対してここまで過敏であり、絶対に受け入れようとしないのは、ナインソルジャーの仲間を失った過去の影響だけではないかもしれません。

ルークは公式のキャラ紹介によると「幼い頃から戦いの訓練を受け、両親をすでに亡くし、家族はいない」とされています。ここからは想像が混じりますが、勇者として育てられたにもかかわらず、両親を守れなかった。そしてその後も、家族同然の存在であるナインソルジャーも守れなかった。この経験がルークにとっての大きなトラウマになり、仲間を守ることが生きる意味となったのかもしれません。そんなルークの過去についても、今後ぜひ語られてほしいものですね。

5.鳥監督について

©全修。/MAPPA

今回も「無駄だよ」と一言だけを残していた鳥監督。だいぶ引っ張るなーという印象。
出番が少なすぎてほぼ考察しようもないですが、ヴォイドを倒したという結果だけ見れば「無駄ではなかった」となるわけですが、監督はこの展開をどう捉えているのか。

もっとも、この「無駄だよ」という台詞は、今回のヴォイド戦だけの話ではなく、もっと大局的な視点での台詞なのかもしれませんね。例えば、今回は凌げたけど、最終的にはナインソルジャーが全滅するのは既定路線なのだ、という意味を含んでいる等……

「無駄だよ」という言葉の意味を単純に取れば、「何をしても意味がない」という絶望的なニュアンスになります。しかし、それをわざわざナツ子に直接言ったことを考えると、監督は「ナツ子の行動が最終的にどうなるかをすでに知っている」可能性があるのかなと。現時点では監督の意図はまだはっきりしませんが、今後ラストに向けて徐々に明らかになってくるのではないでしょうか。