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アニメ「全修。」(ぜんしゅう)5話「正義。」ストーリーまとめ、感想、考察【ネタバレ】

MAPPA制作のオリジナルアニメ「全修。」の第5話のネタバレまとめ&感想、考察です。

第5話のストーリーまとめ(ネタバレ)

©全修。/MAPPA

ヴォイド討伐に成功し、街の人々から称賛を浴びるナツ子。戦隊ヒーロー気分で「信頼と実績のナインソルジャー!」と決めポーズを取るが、ユニオからはスタンドプレーが多すぎると苦言を呈される。一方、デステニーの頼みで、ナインソルジャーはスラム街の子供たちに食事を届け、孤児院「サーバルキャットハウス」の存在を伝えて回ることに。その中でも特に治安の悪い「絶望地区」を担当することになったナツ子とルークは、そこである人物と遭遇する。

©全修。/MAPPA

それは、かつてのナインソルジャーの仲間「ジャスティス」。かつて勇敢に戦っていた彼は、今ではすっかり落ちぶれ、違法賭博場の用心棒として生計を立てていた。かつての仲間の変わり果てた姿に、ルークは複雑な表情を浮かべる。

©全修。/MAPPA

後日、ナツ子は改めてジャスティスと話をする。彼が戦線を離脱した本当の理由は、過去の戦いで重傷を負ったことだった。しかし彼は、その事実をルークに伝えれば、ルークが自責の念に駆られると考え、あえて憎まれる道を選んでいた。

©全修。/MAPPA

一方、ナツ子たちは無事にスラムの子供たちを「サーバルキャットハウス」に連れて行き、彼らに希望を与えることに成功する。しかし、そんな穏やかな時間も束の間、突如ヴォイドの新たな反応が検出される。

©全修。/MAPPA

ナインソルジャーが迎撃に向かうが、現れたのはこれまでとは異なるヴォイド。ルークは慎重に様子を探るが、ナツ子は「全部自分でやる。その方が結果的に早いから」と強引に単独行動を開始する。ナツ子が召喚した侍は、一度は未知のヴォイドを斬り伏せるが、ヴォイドは形を変え、逆に侍を葬り去る。そして、ナツ子は絶体絶命のピンチに陥る。

感想&考察

1.ナツ子が原作改変と鳥(監督)の介入の影響

第5話は、これまでの展開とは大きく異なり、一気に核心へと迫る回でしたね。ナツ子の怒涛の召喚によって次々とヴォイドを薙ぎ払っていき。本人も「もはやこの展開、映画の内容と全然違うけど」と自覚しつつも、それに対する葛藤などは一切無い様子でした。

©全修。/MAPPA

「見たことないヴォイドが来ても何描けばいいのかパッとひらめいちゃうし。いや~、マジで私、無双だわ」

(自分の好きだった物語を好き勝手改変しておいてその台詞、ええんか・・・)

一見順調に見えましたが、ナツ子の行動によって変化した新しい物語は、もはや「滅びゆく物語」ではなく、完全に別の何かになりつつあります。つまり、原作の構造そのものが崩壊し、ナツ子が介入しなかった場合には起こるはずだった出来事(例えば、ユニオやメメルンの死など)が起こらず、「未来を知っている」というナツ子の強みが機能しなくなる、ということです。

©全修。/MAPPA

さらに、今回満を持してついに台詞も用意された「鳥」の存在。前回の4話の記事でも触れたように、この鳥が映画「滅びゆく物語」の監督・鶴山亀太郎である可能性は極めて高いですが、問題は監督のスタンス。ナツ子の味方なのか、敵なのか、4話時点では曖昧でしたが、今回の描写を見る限り、敵対的な存在である可能性がグッと高まりました。

「修正しても無駄だよ」という台詞は明らかにナツ子の行動を否定するものであり、さらにその直後に出た未知のヴォイドにナツ子が通用しなかったことを踏まえても、監督が何らかの方法で「ナツ子の修正に抗う力」を持っている可能性が高そうに感じます。

(一応、逆説的に見れば、「修正しても無駄だよ」という台詞は、監督自身が何度も物語を良い方向へ改変しようとして失敗した末の諦めの言葉と捉えることもできなくはないですが、流石にそれは強引か……と自分で書いていて思いました)

まぁ素直に今後は監督VSナツ子の構図になるのかなぁと思います。監督の介入が強まれば、これまでナツ子が思い通りに改変してきた物語も、次第に制御が効かなくなっていくはずです。もしかすると、ナツ子が覆してきたキャラの死の運命を、監督が別の形で帳尻を合わせるようにして回収していく展開すらあり得ます。そんな不穏な可能性も感じさせるお話でしたね。

2.鶴山監督は何故今まで傍観していたのか?

©全修。/MAPPA

監督が今になってナツ子に干渉してきたわけですが、それでは何故これまで何もせず、ナツ子に好き勝手させていたのでしょうか。いくつか考えてみます。

① ナツ子の監督としての能力を見極めるため

鶴山監督もナツ子も同じアニメ監督であることから、当然ナツ子のことを知っていたでしょう。とはいえ業界的にはナツ子の方が後輩であり、監督としての手腕をどの程度持っているのかを見極めようとしていた可能性があります。世間的に「成功した天才監督」とされるナツ子がどのように作品を作り変えるのか、を知ろうとしていたというのはありそうです。

②特定に時間がかかった

監督がこの世界のルールをどこまで理解し、順応しているのかは不明ですが、仮に「改変が起こっていることには気づいていたが、それを誰が行っているのかを特定できなかった」とすれば、すぐに手を出せなかった理由としては一応成立しそうです。

③ 鶴山監督の転生が最近であり、ナツ子に遅れを取った

第1話でナツ子が転生した時点ではまだ鶴山監督はこちらの世界に来ていなかった、という説。実際、鶴山監督が登場したのは第4話のラストからであり、それ以前は一切姿が見えていません。このことから、ナツ子よりも少し遅れて転生した可能性がありそうです。

……といくつかパターンを考えてはみましたが、現時点では決定的な証拠となる描写が少なく、妄想の域を超えませんね。。。ここらへんは来週以降にもう少し情報が出てくるとわかってくるかもしれません。

3.ナツ子の欠点

©全修。/MAPPA

ナツ子の「全部自分でやる。その方が結果的に早いから」という台詞が幾度となく強調されて、あらためてナツ子の人間性というか、欠点が浮き彫りになりました。

ナツ子は、周囲と協力することよりもも、自分の力だけで物事を解決しようとする傾向が極端に強い人です。これは第1話でもすでに描かれていて、上がってきた原画を鶴の一声で突っ返し、最終的には「じゃあ自分でやるからいいです」と、一切周囲を信用しない姿勢を見せていました。

©全修。(第1話)/MAPPA

「他人に任せる」ことを良しとしない。その結果、彼女は締め切りに追われながらも「全部自分でやる」ことを選び、どんどん追い詰められていく。そして、今回のエピソードでも、まさにそれが最悪の形で表出しました。ナツ子が単独でヴォイドに立ち向かい、結果として絶体絶命の窮地に陥いりました。

これは、現実世界での失敗をわかりやすく重ねつつ、この世界でもまたやらかしてしまうという、ナツ子が人間的に全く成長していないと思わせるエピソードという印象です。ナインソルジャーもアニメ制作現場も「チーム」であり、本来であれば協力するはずなのに、なぜそこまでナツ子はそこまで人を信用していないのか。ナツ子がそのような人間になってしまったエピソードが今後どこかに挟まってきそうな気がします。

そして、それを乗り越えた先に彼女の成長と、現実世界に戻り、チームで協力して「初恋ファーストラブ」を完成させる、そんな結末になるのかな、と思いました。

4.次回の予想

ナツ子が未知のヴォイドに追い詰められる展開で終わった状況を踏まえ、次回の予想をしてみます。

©全修。/MAPPA

最も可能性として高そうなのは、やはり順当にジャスティスが助けに入るという展開ですかね。ジャスティスは最終的にナツ子ともすっかり打ち解けていましたし、ヴォイド襲来の時にはナインソルジャーのことを気にかけて現場の近くに来ていましたし。「ルークのためなら自分が憎まれても良い」というぐらい仲間思いな彼が、そのまま見過ごすということは考えにくいです。(メタ的に考えるとそうでなきゃここでジャスティスを出してきた意味が薄れてしまいますしね)

ただ、問題はその助けた後です。ジャスティスが無事ならまぁ幸せな展開ではありますが、そんな普通の展開でいいのか?とも感じます。むしろ、ナツ子の身代わりでジャスティスが犠牲になるといった展開なんかも可能性としてありそうかなと感じます。

ジャスティスは映画でも亡くなったような描写は現状無かったと思いますが、もし「映画では死ななかったのにナツ子が介入したせいで死んだ」となれば、ナツ子が闇落ちしてしまう展開にも波及しそうです。さすがにそこまで落としてこないか…とは思うものの、そんな展開も面白そう、と妄想できるのもオリジナルアニメの良いところですよね。

おわりに

考察なんだか妄想なんだかよくわからない感じになってしまいましたが、第5話を見てこのようなことを考えました。本作で2話に跨ぐ話は初なので、次回がすごく待ち遠しいですね。