MAPPA制作のオリジナルアニメ「全修。」の第4話のネタバレまとめ&感想、考察です。今週はアップが少し遅くなってしまいました…
第4話の簡単ストーリーまとめ(ネタバレ)
第4話では、メメルンの不可解な行動が明らかになりました。ナツ子は、映画「滅びゆく物語」の中で描かれていた「メメルンが裏切るシーン」を思い出し、その理由が映画では全く語られていなかったことから不安を募らせます。この謎を解明するため、メメルンの跡をつけることに。
メメルンが向かった先は墓地での聖歌隊の練習。そこでナツ子とルークは、不気味な歌や儀式が行われている場面に遭遇します。さらに、信者たちの会話から、収穫祭でヴォイドに変幻魔法をかけたのは、聖歌隊によるものだとの事情が判明します。驚いたナツ子とルークは、メメルンの真意を探るべく対話を試みますが、彼女は「エルフとしての長寿ゆえに繰り返される争いに終止符を打ちたい」という理由から、世界の終焉を望んでいると語ります。
この暴露に対し、ナツ子は強い怒りと失望を露わにしながらも、「好きだったメメルンはこんな人じゃない」と訴えます。一方、ルークはメメルンが長命ゆえに味わってきた孤独や悲しみを思い、涙を流します。ナツ子は映画のようにルークがメメルンを殺してしまう展開を恐れ、最終的にルークの提案で、ナツ子の召喚魔法で超空洞ヴォイドを召喚し、超空洞ヴォイドの命令で解散させるという奇策を講じようとします。
しかし、ナツ子は最終儀式が映画「滅びゆく物語」の中で描かれた展開そのものに繋がっていることに気づきます。このまま進めば、映画と同じようにルークがメメルンを殺してしまう結果になってしまうと危惧します。そこでナツ子は「超空洞ヴォイド」ではなくナツ子が以前描いたアイドルキャラクター「イグジスト」を書きます。彼の登場によって、メメルンは「滅び」ではなく「希望」を見つけることを決意し、儀式を中断して街に戻ることを選びました。
感想&考察
1.ルークの優しさ
メメルンの真意を知って涙を流すルークの姿は、彼のキャラクター性がしっかり出ていて非常に印象的でしたね!第1話でユニオをナツ子からかばった際の「俺の仲間を傷つける奴は誰であろうと許さない」という台詞と真剣な表情からもわかるように、ルークは誰よりも仲間を大事に思っているということが多くの描写から伝わってきます。
そんなルークにとって、仲間を一人ずつ失っていく「滅びの物語」の本来の展開は、それは相当に耐えがたいものだったんだろうなと想像できます。第1話で「興行的に大コケ」と言われてましたが、そんな鬱展開は、まぁ大衆には受け入れられないでしょうね。ルークは幸せになってほしい……
2.メメルンを変えた「推し活」について
メメルンの絶望的な心情を推し活で救うという解決法は、正直最初はかなり強引な印象を受けましたね。エルフの長命ゆえの孤独という深刻な過去を乗り越えるきっかけとしては、少し弱いなと……まぁ、アイドルは生きるパワーをくれるというのはよくある話ではありますが、、、メメルンがこれまでそういったミーハーな気質を見せたこともなく、いつも無表情で冷静なキャラだったので尚更ですね。
ちなみに、前回のサーバルキャットマスクに憧れたデステニーにもまた、同じような印象を抱きましたね。キャラ変わり過ぎだよ!って。
(余談:長寿故えの苦難を描かれているキャラクターといえば、例えば最近でいうとフリーレンとか、原神のシトラリとか、あとはちょっと古いですがさよならの朝に約束の花をかざろうのマキアなど、いくつか思い当たりますが、それらに比べるとあまりにも軽く扱われている印象を感じた。)
ですがあらためて見返す中で、あくまで推し活はメメルンの揺れている気持ちを変えるための「単なるきっかけ」に過ぎなかったのかな、とも感じました。
そう思う理由は以下。
- 超空洞ヴォイドの力を借りる儀式を最後の手段としてストップをかけていた
- ナツ子の「みんなのこと好きじゃないの?」という問いに対して動揺していた
- ナツ子がイグジストを召喚する直前に過去のルークたちとのやり取りを思い出して儀式を中断をしていた
などなど。メメルン自身「本当に超空洞ヴォイドを呼び出していいのか?」「本当にこの世界を終わらせていいのか?」とずっと葛藤していたのでしょう。
メメルンもデステニーも、ナツ子によって運命を大きく修正される結果となりました。まさにナツ子による「全修」ですね。
3.メメルンの動機について
前述の項目と少し被りますが、メメルンの動機は結構不自然に描かれています。エルフが長寿であるとはいえ、別に自ら命を絶つことだってできるはずです(実際に原作ではルークに殺されて死んでいるため)。それにもかかわらず、なぜ皆を巻き込む方法を取る必要があったのか。メメルンの言葉を借りれば「永遠の滅亡こそが、わたしたちの幸せ」だと、そう信じていたからだと思いますが、動機としてはやはり弱い。描写が不十分。
もっとも、この動機の不自然さは、意図的にそう描かれている可能性もあると感じました。ナツ子曰く、「映画でもメメルンが何をしようとしていたかはマジで謎」とのことだったので、もしかすると「原作の設定の甘さ」をそのまま表現しているのかもしれません。(深読みしすぎかもですが……)
4.ゆっくり進む恋模様
1話からすごくスローなペースですが、ルークはナツ子に着実に思いを寄せていっています。今回の最後のユニオとのやりとりによる動揺してるところはもう決定的でしたねwもう「気になる」から「恋」に変わっています。一方ナツ子は無頓着なので全く気にもしてなさそうですが、ここにナツ子が成長するきっかけがありそうです。
幼い頃には友達がたくさんいたように描かれていたナツ子ですが、それ以降はおそらく友達がいなくなった。誰も信じなくなった。そんな背景を持つナツ子にとって、「初恋ファーストラブ」のような青春ラブストーリーを描くのは到底無理な話です。ですが、ルークとの仲を深め、さらには「滅びの物語」の登場人物たちとの絆が強くなることによって、彼女が内面の壁を克服していく展開になりそうに思います。
5.最後に登場した鳥の正体
4話の最後に不穏に映し出された鳥。この鳥はオープニングにも登場しており、映画「滅びゆく物語」の監督である鶴山亀太郎であることがほぼ確定だと言えるでしょうね。第1話で登場した鶴山監督の髪型や目といった特徴が、この鳥のデザインと一致していることに加え、ナツ子が転生する直前に鶴山監督も同じく「食中毒」で亡くなったという点が、その裏付けととしてかなり強力です。
で、そんな原作者である鶴山監督はこのナツ子の改変についてどう思っているのか。普通に考えれば、自分の手掛けた(しかも世間的に"失敗作"の烙印を押された)物語を好き勝手に改変されていくのは良い気分じゃない気がしますが、ここからの展開はいくつか考えられそうです。
まず一つ考えられる展開としては、鶴山監督がナツ子の全修を邪魔しに来るパターン。この物語の創造者なのですから、ナツ子と同様かそれ以上の改変能力を持っている可能性は大いにあります。ナツ子がユニオやメメルンの「死」を一度は阻止したものの、監督によるもっと上位の改変能力によって結局別の展開で「死」に追いやられるという展開はありそうですし、鬱展開ではありますがとても見応えがありそうな展開です。
もう一つ考えられそうな展開としては、このまま俯瞰してナツ子がどのように全修するのかを見届けるというパターン。鳥は高所から全体を俯瞰して見渡す象徴的な存在であることから、監督がナツ子を通して、自分の物語がどのように全修されていくのか見届けるというスタンスを取る可能性もあります。渾身の思いで書いた物語が、ナツ子によってどう変えられていくのか、それを観察しながら「本当の正解」を探ろうとしているのかもしれません。ナツ子の「死」は明確には描かれていませんが、鶴山監督についてはニュースで死亡が報じられていることから、監督の死が転生の背景となっていそうです。それが心残りとなり、自身の物語がどう進むべきだったのかを確かめるために、あの世界に鳥として転生しているという可能性もありそうです。